「薄毛」は、肥満や臭いなどと同じように、直接生命にはかかわることはありませんが、他人からの見た目がとても気になる症状です。
生命にかかわらなくても生活の質に影響する症状なので、「QOL疾患」と呼ばれます。QOLとは、”Quality of Life”の略語で、生活の質の意味です。
ある程度の年齢になればあきらめることもできますが、若い人にとって、脱毛や薄毛は精神的なストレスの原因に。
そんな薄毛や脱毛を改善する治療法として、毛髪再生医療技術の一つに、幹細胞を使った治療法があります。
外用薬や内服薬と比べて効果が期待できますが、保険が使えないため治療費用が高額で、医療費控除も使えないのが難点といえます。
幹細胞を使った毛髪再生医療
毛髪再生医療に使われる幹細胞は、自分の脂肪から採取したものが使われます。
おもに採取した脂肪から幹細胞だけを抽出して頭皮へ注入する方法、採取した脂肪を培養してから頭皮へ注入する方法があり、根本的な治療法としてその効果が期待されています。
また、自分自身の脂肪細胞を使っていますから、副作用の心配がないのも大きな特徴です。
ここでは、全国に美容クリニックを展開する聖心美容クリニックの「KERASTEM(ケラステム)毛髪再生」について、紹介します。
参考:聖心美容クリニックHP
① 少量の脂肪を採取する
②幹細胞を抽出して活性化する
③頭皮へ注入する
<施術フロー>
ステップ1 当日診察
・脂肪を採取する部位と頭皮の注入場所を確認します。
ステップ2 麻酔
・脂肪の採取と頭皮への注入の前に、静脈麻酔をおこないます。
ステップ3 脂肪採取
・脂肪は、腹部や臀部、または大腿部から、120cc~250cc程度を吸引します。
ステップ4 幹細胞・脂肪組織の抽出
・KERASTEM社製の専用機器を使い、採取した脂肪から幹細胞と移植用の脂肪組織を取り出します。
ステップ4 頭皮へ注入
・幹細胞と移植用脂肪を頭皮に少しずつ注入します。
<処置時間>
・3時間~4時間
<副作用など>
・脂肪の採取量は少量(120cc~250cc)なので、吸引部の痛みは筋肉痛程度のようです。
・内出血は手術後2週間程度で治まり、術後1週間経ったころから、吸引部が硬くなってきますが、時間が経つと治まります。
・脂肪を注入した頭皮は、手術後多少腫れ・痛みが出ますが、1週間程度で落ち着き、内出血も術後2週間程度でおさまります。
<費用>
※健康保険は使えません。
男性用・女性用:1回 1,650,000円(税込)
血液検査代:5,500円(税込)
幹細胞注入の効果
幹細胞を頭皮に注入すると、毛根の周囲にある脂肪前駆細胞(脂肪になる前の細胞)が活性化します。
脂肪前駆細胞からは、さまざまな成長因子(グロースファクター)がつくられ、休眠状態になっている毛包幹細胞を刺激します。
この働きにより、休止していた毛包が活発化し、毛髪のサイクルが休止期から成長期へ移行することで毛髪が再生することになります。
ヘアサイクルの乱れ
脱毛や薄毛は、ヘアサイクルの乱れによって起こりますが、とくに成長期のサイクルが短いことが原因になっています。
健康なヘアサイクルでは、成長期が2~6年なのに、乱れたヘアサイクルでは、数ヶ月~1年ていどしかありません。
太く長くなる前に毛の退縮が始まりますから、毛球が退化し、毛が抜けて脱毛や薄毛になってしまいます。
<乱れたヘアサイクル>
<健康なヘアサイクル>
幹細胞の注入が毛根周辺の炎症を予防
毛根周辺の炎症は、脱毛や薄毛の原因になると考えられています。
幹細胞を注入することで、抗炎症効果のある成長因子がつくられることにより、毛根周辺の炎症の予防効果が期待されています。
幹細胞を活用した「HARG療法」
幹細胞を活用した脱毛・薄毛治療の一つに、HARG療法があります。
HARG療法で使われるのは、幹細胞から抽出した成長因子を含むタンパク(AAPE)や、毛髪の成長に必要なビタミンやアミノ酸などをブレンドした「HARGカクテル」で、幹細胞そのものではありません。
このHARGカクテルを表皮と真皮の間に注射したり、極細針のローラーで頭皮全体に浸透させて施術します。
この施術を定期的(通常1ヶ月に1回)に、5~6回以上おこなうことで効果があらわれるようです。
人によって効果の程度には違いがあり、また他の薬と併用することもあるようですが、医療法人社団 清優会はなふさ皮膚科のケースでは、20人中18人に効果が認められたとのことです。
はなふさ皮膚科の場合、1回の通常料金が8万円で、6回コース通常料金40万円、9回コース通常料金60万円となっています。
6回で1クールとしているクリニックが多く、料金もだいたい同じですが、健康保険は使えません。
ヒト幹細胞培養液配合の「養毛料」
HARG療法では、幹細胞そのものが使われるわけではありませんが、幹細胞から抽出した成長因子(グロースファクター)などが頭皮にはたらきます。
ヒト細胞を培養するときの上清液(上澄み)にも、上皮細胞のハリや成長などを促す成長因子が豊富に含まれ、ヒトの細胞のレセプターに直接はたらくことになります。
このヒト幹細胞培養液を配合した養毛料として、今注目されているのが『セルヘアプラス』です。
『セルヘアプラス』には、このヒト幹細胞培養液が配合されていて、頭皮のバランスを整えることが期待されています。
『セルヘアプラス』には、ヒト幹細胞培養液以外にも、頭皮や髪にはたらく「保湿因子」「ハリ・ツヤ因子」が同時に配合されているのが大きな特徴です。
幹細胞治療と比べたらコスパなので、幹細胞治療を受ける前に一度は試していただきたい養毛料です。
コメント